コンサートのご案内

いよいよ明日開催となりました。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は中学の頃ゼルキンの演奏を初めて聴いてからず〜〜〜〜っと憧れていた曲。
偶然、大学在学中にソリストオーディションの課題曲になって、挑戦するも力及ばず。
2015年再びチャンスが巡ってきたと思いきや、夢に終わり。
長年の想い続けた曲。お聞き頂けましたら嬉しいです。
今回演奏できるご縁に感謝。
ご縁と言えば、思い出が1つ。
大学のオーディション直前にヘンレ原典版楽譜入手。
今ではオーダーすれば当たり前に手に入るこの曲のヘンレ版楽譜。
当時はまだ刊行されていなくて、課題が発表された時も何版を読めば良いのか
迷っていました。
そんな時、友達が輸入楽譜フェアがサンシャインシティで開催されるよ!
と情報をくださり、行ってみたのです。
新刊のコーナーにベートーヴェンの4番が!ヘンレ版!
狂喜乱舞した瞬間でした。
その日、偶然にもヘンレ社社長のマルティン・ベンテ博士が来日されていて、
博士直々にお話くださり、求めました。
記念にサインまでしていただいて。
原典版がようやく世に現れて、
その楽譜(ヘンレ版)は、当時、まだ版画方式で作成され、1ページ作るのに
職人さんが1ヶ月かけていらっしゃるそうで、
その時職人さんは既に2人に減っていて、
と逸話を伺いました。
つまり、85ページあるこの楽譜は、2人がかりで3年7ヶ月はかかっていることになります。
良い楽譜作りだけでなく、作曲家の思いを深く読み取り、正しく製品化する、
その信念を貫き創立したヘンレ博士の思いが受け継がれ、
遠い日本に届けられているのです。
この曲に憧れる私の思いだけでなく、
ベートーヴェンのこの曲に込めたメッセージと共に、
ヘンレ社の想いも(勝手に)背負って弾いてきました。
明日は、自筆譜にこだわりたいのは山々なのですが、
残念ながら、この曲の自筆譜は失われ、確認できません。
最古の資料、初版を基に制作されたヘンレ版を用いますが、
ベートーヴェンが当時最新のピアノでも出せない高音部分(鍵盤が4点ハ音までしかなかったため)をどのように音楽に当てはめていくか苦労して作曲されたことが確認できます。
ベートーヴェンが書き留めた音を変えることなく、当時の鍵域を厳守して演奏します。
(ベートーヴェンが晩年使用したピアノでは、その高音が出せるようになったため、
多くの演奏家が、4点ニ音を必要とする再現部で、提示部のメロディを移調した音に置き換えて弾いています。)
10月4日記
多くの皆様にご来場いただきました。
ありがとうございました。
現代で可能になったエレクトーンによるオーケストラとの共演で
ベートーヴェンの名曲を弾かせていただきました。
長年憧れ続けた曲を演奏して、とても幸せな1日でした。
心より御礼申し上げます。